ランチタイムの王子様!
「おめでとう」
「おめでとう!!」
招待客から祝福の台詞が口々に初々しい新郎新婦に向けられる。
王子さんに借りたリストから見つけたのは、英国式の庭園を売りにしているゲストハウスだった。都心とは思えない開放感と緑溢れる空間は清々しい空気に包まれており、写真を見たつぐみ姉もここが良いと納得の一声を上げたのだった。
色とりどりのフラワーシャワーの中、新郎新婦が大階段を一歩また一歩と進んでいく。ロングドレスの裾を捌いている私の頭上にも同じように大量の花びらが降ってきて視界が塞がれる。
(重いっ……)
引きずる方も大変だが、ついて行く方も大変だ。
大量のレースとシルクをふんだんに使ったドレスの重いこと重いこと。ドレスを挟んで反対側の裾を持っているゆりあさんは慣れているのか涼しい顔だ。
裏方に徹すると決めたからには泣き言ばかり言っていられない。
「投げまーす」
つぐみ姉の投げたブーケは綺麗な放物線を描いて青空の中を飛んでいった。