ランチタイムの王子様!
「イタタ……」
強打した右腕を擦りながら身体を起こすと、場が騒然としていて血の気が引いた。
皆、何があったのかと私と男性をチラチラと横目で見ていた。
(や、やっちゃった……?)
自分のしでかした失態に呆然としていると、ゆりあさんと王子さんが小走りでこちらにやって来て、一緒に倒れ込んだ男性に声を掛けた。
「お客様!!お怪我はありませんか!?」
「一体どうなっているんだ!!」
「申し訳ありません!!」
ゆりあさんは男性の怒りを鎮めようと、必死になって頭を下げている。
私も同じように頭を下げようとしたが、足に力を入れるとズキリと痛みが走ってどうにも立ち上がれなかった。
(痛っ……!!)
激痛に眉を顰めていると、すっと王子さんの手が差し伸べられた。
「望月さん、立てますか?」
「王子さ……」
「大丈夫ですよ。私と海東さんでフォローに回りますから。あなたは医務室に連れていってもらいなさい」
王子さんはこっそりと耳打ちすると、近くにいた会場スタッフを呼んで私を医務室に連れていくように指示をした。
私は後ろ髪引かれる思いで会場のスタッフに付き添われて、医務室へと運ばれたのだった。