ランチタイムの王子様!
(最悪……)
ズキズキと痛む足首が、ドジをやらかした私をひたすら責める。
転んだ拍子に少し捻っていたようで、近くの診療所から派遣されたお医者さんは次の日も腫れが引かなかったら病院に行くように言い残すと、応急処置をしてさっさと帰ってしまった。
ひとりにされ大人しくパイプ椅子に座っているしかない状況に、気分が地の底まで沈んでいく。
……最後の最後にとんでもないポカをやらかしてしまった。
(晴れ舞台をぶち壊す妹ってどうなのよ?)
顔を掌で覆い盛大なため息をついていると、医務室の扉がノックされ王子さんが現れた。
「足の具合はどうですか?」
「少し腫れていますけど、骨に別状はないみたいです」
「そうですか。軽い怪我で済んで良かったですね」
どうぞと言って渡されたのは自販機で買った缶コーヒーだった。
もらった甘めのカフェオレのプルタブをどうしても開ける気になれなくて、そのまま両手で握りしめる。
「あの……。お披露目会はどうなりました?」
「あなたが退場してからもつつがなく行われましたよ。先ほど招待客の皆様もお帰りになりました。あなたと一緒に床に倒れた男性にも怪我はありませんでした。今日はクリーニング代をお渡しして、お帰り頂きましたよ」