ランチタイムの王子様!
ランチタイムと封印されたメニュー
「望月さんの完治を祝してかんぱーい!!」
「乾杯ッ!!」
「かんぱ~い!!」
グラスを天高く掲げるとカランと氷が踊る。乾杯と言ってももちろんお酒ではない。アルコールなしの普通の水出しアイスティーである。
11月に入り、痛めていた足もすっかり治り、ブライダルシーズンも一山超えたこともあって、私の初担当案件が無事に終わった祝勝会をしようという話になり、今日はゆりあさんも誘って3人でカフェランチだ。
お祝いの席ということで奮発して、お得なランチタイムでもなかなか手が出せないお高い創作スペイン料理店をチョイスする。
もちろんお会計は尊敬する先輩方の奢りである。ごちそうさまです。
「お疲れ様~!!最後はバタバタしてたけど無事に終わって良かったね!!」
よっぽど喉が渇いていたのか、麻帆さんのグラスからは一瞬で液体が無くなっていく。まるで、ビールを飲んでいるかのようだ。
「すいません。ご迷惑をおかけしてしまって……」
ドジをやらかしたせいで、結局最後の方は役立たずの木偶の坊に成り下がってしまったことを、改めてゆりあさんに謝罪する。