ランチタイムの王子様!

オリエンタルプラザホテルと言ったら、私でも知っているぐらい有名な高級ホテルだ。

都心の一等地という立地に、国内屈指のサービスとおもてなしに、各国の著名人からの支持も厚いという。

「私に譲っちゃっていいの?」

「結婚祝いに頂いたのだけれど、彼の家の法事に出ないといけなくてね。日付指定で予約してあるし、今更キャンセルするのも頂いた方に申し訳ないから、代わりに行ってもらえるかしら?」

オリエンタルプラザホテルという文字が、照明に照らされて黄金色にキラキラと光る。

……高級ホテルでディナー。しかもただで。甘美な響きにゴクリと唾を飲みこむ。

「でも、一緒に行ってくれる人なんていないし……」

「あなたも気になる男性の一人くらいいるでしょう?誘ってみたらどう?」

「気になる男性……」

つぐみ姉から頂いた招待券を手に持って、じいっと見つめる。

……気になる男性と言われて脳裏に浮かぶのは一人しかいない。

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