ランチタイムの王子様!
「オリエンタルプラザホテル?」
「はい……。日頃からお世話になっておりますので、王子さんさえ宜しければご一緒にどうかと……」
土曜日恒例のお料理レッスンの後、色んな意味で今、一番気になる男性を誘ってみた。
「展望レストランでディナーですか……」
王子さんはそう言うとキノコのシチュー・パイ包み焼きからスプーンを置くと、何かを考えるように黙ってしまった。
私は赤くなった顔を隠すように俯くと、必死になって苦しい言い訳を並べ立てた。
「あの、嫌なら嫌って言ってください!!急な話ですし、私も他の人を当たってみますので……」
つぐみ姉にのせられて王子さんを誘ってみたわけだが、よくよく考えてみればペアチケットだからって男性と行く必要はないはずだ。
……展望レストランのディナーに男性を誘う。
これでは、あなたにただならぬ好意を持っていますと宣言しているようなものだ。
(うう、恥ずかしい……)
悩むくらいならいっその事早くとどめをさしてくれ!!と切実に思っていると、王子さんがこちらのお望み通り返事をくれた。
「良いですよ。18時にフロントの前で待ち合わせしましょう」
「え!?あ、はいっ!!」
……誘ったのは自分のくせに一瞬、何が起こったのか分からなくなった。
まさかの快諾にふわふわと夢見心地になってシチューを口に運ぶ。
何はともあれ。
わたくし、王子さんと一緒にディナーに行くことになりました。