ランチタイムの王子様!
オリエンタルプラザホテルの17階にある、“Restaurant Takamatsu”は本場の巨匠に腕を認められた日本人シェフが腕を振るう本格フレンチ料理が有名なお店だった。
案内されたのは夜景の見える窓際の特等席だった。
景色を一望できるように一面が大きな窓となっており、そこから見る都会の夜景はネオンで輝いていて、息を呑むほど綺麗だった。世界中の光をひとり占めといった気分に浸れそうだ。お店の中央に置かれたピアノの音色がより一層気分を高揚させる。
「何を飲みますか?」
王子さんに促されるようにしてメニューを開くと、読み方と意味の見当もつかないフランス語が沢山並んでいて、思わずうっと呻いてしまった。
(ワインだけでもすごい種類……)
どれが良いのか分からず目をしばたたかせていると、王子さんがそっと身を寄せてきた。
「これといって飲みたいものがなければ、私が選びましょうか?」
「お任せします……」
どうすれば良いのか分からず困っていたので、王子さんの申し出にホッとする。
お酒は苦手というわけでもないので、大概のものなら飲めるのが不幸中の幸いである。
注文した白ワインがギャルソンの手でグラスに注がれると、慣れない場所に緊張して喉が渇いていたのか、はしたなくぐびぐびと飲んでしまった。