ランチタイムの王子様!
料理全般の知識はもちろん、王子さんはテーブルマナーも完璧だった。
次々と運ばれてくる芸術品のように美しい料理と、美味しいお酒に酔わされ、普段とは異なるムーディな空間に当てられて、私はなぜか王子さんの口元ばかりぼうっと眺めていた。
結構、薄目の唇だよね……。
男の人なのにつやつやしていて、いいな……。
キスする時にガサガサだとちょっとがっかりしちゃうし……。
「望月さん?大丈夫ですか?」
はたと気がつくと、あらぬ妄想に憑りつかれていた私を王子さんが心配そうに見つめていた。
「だ、大丈夫です!!」
何考えてんの!?私っ!!
誤魔化すように、両手を振れば全身に熱が回って暑いことこの上ない。
想像しちゃった……。もちろん、王子さんとキスするところまで。
(やだっ!!そんなつもりで誘ったんじゃないのにっ!!)
確かに最近彼氏というものには縁がなかったけれど、欲求不満というわけではない。