ランチタイムの王子様!

「お、お料理!!美味しいですねっ!!」

はぐらかすように牛ヒレ肉とフォアグラのグリルを口に入れると、口の中でほわっと身が解れて濃厚なソースと溶けあって本当に感動してしまう。

「本当に見事ですね。どこ産のバルサミコ酢でしょうか……」

すいません、王子さん。産地とか気にしたことないです……。

王子さんって、あくまでも作る人の目線なんだよね。よっぽど料理を作るのが好きなのだろう。

「王子さんっていっつもそんなことを考えながら外食しているんですか?」

「そうですよ。家でも作れるなら外食せずに済むでしょう?」

今、さらりととんでもないことを言いませんでしたか?

この何万円もするであろうフランス料理のフルコースがご自宅で食べられるというのか!?

「いいなあ。私にもぜひ作ってくださいよ!!フランス料理のフルコース!!」

お家で本格フレンチが食べられるなんて贅沢だ。ぜひともお呼ばれしたいものである。

「そうですね。たまには良いでしょう。ただし、その時はデザートを望月さんにお任せします」

「やったあっ!!」

私は喜びのあまり、子供のように両手を上げてはしゃいでしまった。

「約束ですからね!!」

大人だから指切りげんまんはしないけれど、心のメモ帳に書き留めたから約束破ったら針千本飲ませちゃいますからね?

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