ランチタイムの王子様!
**********
「望月様」
「はい?」
豪華なディナーに気を良くし食後のお紅茶を頂いていると、ギャルソンが伝票らしき革製のバインダーを片手にテーブルへとやって来た。
(あれ?)
お支払いは招待券から賄われるはずだと、最初に聞いていたけれど追加料金でも発生したのだろうか。
首を傾げつつ説明を待っていると、ギャルソンは恭しくバインダーを開いてこう言った。
「お預かりしているものがございます」
バインダーに挟まっていたのは伝票でもなければ、追加料金の精算表でもない。
……夜空に煌めく星のような光眩いゴールドのカードだった。
「え?あ?なんですか、これ?」
「当ホテルのスイートルームのカードキーでございます」
「……え?」
私はあくまでも紳士的な態度のギャルソンに対し、ポカーンと口が半開きになった間抜け面を晒してしまった。
なぜ、スイートルームのキーが私の所に運ばれてくるんだ!?
新手の詐欺……?