ランチタイムの王子様!

「そうなの……。持ち寄りランチなんて最近の会社は珍しいことをするのねえ」

「はい」

丸椅子を二つ軒先に並べ、即席のお悩み相談が開催される。こんなことが出来るのも昔ながらの商店街の良い所である。

私がいつも夕食を調達している“キッチンすみれ”はからあげが美味しいと評判のお惣菜屋さんである。

菫さんの作るおいしいお惣菜にはこの町に引っ越してきてからずっとお世話になっている。

菫さんにルージュランチのこと、おまけに全く料理が出来ないことまで洗いざらい話してしまうとすうっと気分が楽になった。

「みんなでランチを持ち寄って食べるなんて楽しそうねえ。ピクニックみたいで」

「そりゃあ菫さんみたいに商売にするほど料理好きな人だったら、さぞ楽しいでしょうね。私だって自分が作る側でなければ楽しそうだと思いますもん」

出来れば余すところなく堪能する側に回りたいと、ぐっと拳を握る。

料理が作れない分、食べる方は得意なのだ。

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