ランチタイムの王子様!

(きゅ、休憩ですか……?)

きゅ、休憩とはどういう類の!?

もしかして、めくるめく官能の世界にレッツダイブですか!?

どうしよう!!今日に限ってベージュの下着だなんて!!セクシーとまではいかなくても、せめて花柄にしておけばっ!!

降って湧いたような艶めいた展開に、もうパニック寸前である。

所在なく室内をうろうろと歩き回っていると、王子さんが冷蔵庫から水を取り出しコップに注いで、私に渡してくれた。

「水でも飲んで落ち着いてください」

……水を飲んで落ち着けるなら最初からそうしている。

(落ち着きがなくなったのは誰のせいだと思っているんですか……)

本人に言うのは癪だったので黙って水を頂戴して、コップを一気に空にする。

「酔いが冷めたら帰りましょう。長居すると終電がなくなりますから」

……ん?

王子さんの発言に違和感を覚えて、お水のお代わりをしそこなう。

「帰るんですか?」

「当たり前でしょう?未婚の男女が同じ部屋に寝泊まりするべきではありませんからね」

いや、それはそうなんだけど……。

一晩一緒に過ごすと妄想を膨らませていただけに、帰ると言われて拍子抜けしてしまう。

< 183 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop