ランチタイムの王子様!
「そうですねえ……」
私の訴えを聞き、王子さんは珍しく悩んでいた。
……揺らいでいる。王子さんの常識という名の天秤が揺らいでいる。
(もしや、押せばいける……?)
「ベッドはひとつしかありませんよ?」
「平気です!!ほら、こうやって半分こにすれば十分広いです!!」
私は枕とソファに置いてあったクッションをバリケード代わりにベッドの中心に縦に並べた。
相手はもう陥落寸前だ。これを逃せば次の機会がいつ来るかどうか分からない。攻めこむなら、今しかない。
名案だと言わんばかりに両手を広げベッドを見せる私に、王子さんは頭を抱えていた。
「こんなバリケード、すぐ壊せますよ」
「でも、王子さんは私には興味ないんですよね……?」
あ、自分で言っていて虚しくなってきたぞ。
「それとこれとは話が別です。昼間、私のマンションにいる時とは状況が違うんです。少しは自衛してください。もし、私があなたに襲い掛かったらどうするんですか?」
「襲……っ!!」
思いがけぬ狼発言を聞いて、ぷしゅうと顔から湯気がでそうになる。
あれですか!?
女性なんて一切興味がありませんと見せかけておいて、隙あらば襲い掛かってくるとんでもない狼さんなんですか?
これが噂のロールキャベツ男子……!?