ランチタイムの王子様!

「そうですねえ……」

私の訴えを聞き、王子さんは珍しく悩んでいた。

……揺らいでいる。王子さんの常識という名の天秤が揺らいでいる。

(もしや、押せばいける……?)

「ベッドはひとつしかありませんよ?」

「平気です!!ほら、こうやって半分こにすれば十分広いです!!」

私は枕とソファに置いてあったクッションをバリケード代わりにベッドの中心に縦に並べた。

相手はもう陥落寸前だ。これを逃せば次の機会がいつ来るかどうか分からない。攻めこむなら、今しかない。

名案だと言わんばかりに両手を広げベッドを見せる私に、王子さんは頭を抱えていた。

「こんなバリケード、すぐ壊せますよ」

「でも、王子さんは私には興味ないんですよね……?」

あ、自分で言っていて虚しくなってきたぞ。

「それとこれとは話が別です。昼間、私のマンションにいる時とは状況が違うんです。少しは自衛してください。もし、私があなたに襲い掛かったらどうするんですか?」

「襲……っ!!」

思いがけぬ狼発言を聞いて、ぷしゅうと顔から湯気がでそうになる。

あれですか!?

女性なんて一切興味がありませんと見せかけておいて、隙あらば襲い掛かってくるとんでもない狼さんなんですか?

これが噂のロールキャベツ男子……!?

< 185 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop