ランチタイムの王子様!

どこにでもいる普通の男性ならば、女性とホテルでふたりきりの時はどうすると思います?

枕で作ったバリケードの反対側には王子さんがいると思うと、そちらに顔が向けられなかった。

布団を頭から被って何も聞こえないように、何も考えられないように、手で耳を塞ぐ。

女性として相手にされていないことに……本当はちょっと傷ついているんだ。

手を出せないように仕向けたくせに、自分勝手で嫌になる。

いつからこんなに狡くなったんだろう。

我儘を聞いてくれた王子さんに対して申し訳ない気持ちで一杯になる。

(明日、ちゃんと謝ろう……)

自分の流儀を曲げてくれた王子さんに誠心誠意謝って、それから……。

ふたりで世界一の朝食を分かち合うんだ。

私は世界一の朝食への憧れ胸に抱きつつ、固く目を瞑ったのだった。

< 189 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop