ランチタイムの王子様!
お皿の上にはカリカリに焼いたベーコンと、とろとろのスクランブルエッグが。フレッシュなヨーグルトにはベリーとオレンジの2種類のソースからお好みのものが選べるのも嬉しい。丁寧に裏ごしされたコーンスープは見た目も綺麗な上に口当たりも滑らかだ。
テーブルに置かれた小さなバスケットの中にはおかわり自由の焼きたてのクロワッサンが良い匂いを立てている。
私はゴクリと唾を飲みこんだ。
まず、最初に手をつけるべきはバターの風味たっぷり、サクサクのクロワッサンだ。
一口大にちぎってジャムをつけて頬張れば、至福の瞬間が待っていた。
(はうう……。幸せ……)
クロワッサンの層と層の間には空気ではなく、幸せが詰まっている。間違いない。
じわーんと幸せを噛みしめていると、その様子を見た王子さんがニヤリと口の端を上げた。
「パンくず、口についてますよ」
「え!?」
「……嘘です。早く食べないと折角の朝食が冷めてしまいますよ?」
王子さんはポーチドエッグをナイフで切り白身に黄身を塗ると、私に見せつけるようにパクリと口に運んだ。
いいもん。スクランブルエッグだって美味しいし!!
卵料理はオムレツ、スクランブルエッグ、ポーチドエッグの3種類からお客の好みに応じて調理してくれるのだ。
(……意地悪!!)
どうやら、王子様は今朝の一件を相当根に持っているらしく、世界一の朝食を前にしてもご機嫌ナナメのご様子である。