ランチタイムの王子様!

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「今日はかぶら蒸しを作りましょう」

王子さんは冷蔵庫からテキパキと材料を取り出しながら言った。

「かぶら蒸しですか?」

かぶら蒸しって……確かかぶをすり下ろして卵白と混ぜて蒸したものだったかな?

ちょっといい和食料理屋さんで何度か食べたことはあるけれど、ご家庭で作ったことは当然ながら皆無である。

「ええ、冬になったので季節感のある料理をと思いまして。かぶら蒸しは寒くなってきたこの時期にはぴったりのメニューです。まあ、作るにはちょっとしたポイントがありますけれどね」

「私でも大丈夫ですかね……?」

味噌汁とかお浸しとか、家庭料理の範疇にある和食ならこれまで作ってこられたけれど、かぶら蒸しなんて名前からして難しそうである。

「大丈夫ですよ。失敗しないようにゆっくりやりますから」

不安げに見つめていた私の頭を、王子さんの手が撫でていく。

王子さんが言うと本当に美味しく作れちゃいそうな気持ちになるから困るんだよね……。

「じゃあ、まず材料から説明しますね」

かぶら蒸しに使う材料とその手順を口頭で説明されメモを取っていると、突如ピンポーンと玄関口のインターホンが鳴った。

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