ランチタイムの王子様!
確かに痩せているしスレンダーな体型だとは思うけれど、さすがに鶏がらはないですよー。
「ひばりちゃんはその子が瑛介の元彼女だって気づいちゃったわけだ?」
年の功なのか察しの良い菫さんに嘘はつけず、私は正直にコクンと頷いた。
「本当に、瑛介はしょうもない男ね。昔の女にかまけている暇があるなら、店の手伝いでもしろっていうのに……」
菫さんは日頃の恨み言と判別のつかない苦言を呈すと、私に惣菜の入ったビニール袋を渡した。
「はい、かぶら蒸し!!これでも食べて元気出して!!」
「ありがとうございます、菫さん」
私は菫さんにお礼を言うと、ほんのりと温かいビニール袋を抱えて家路を急いだ。
(本当は王子さんと作るはずだったのにな……)
結局、かぶら蒸しの作り方は分からずじまいになった。
なぜならば、それ以来なんとなく気まずくなって私は王子さんとの料理レッスンにあれこれと理由をつけて行かなくなったからだ。