ランチタイムの王子様!

「あったまります……」

「この分なら直ぐに良くなりますね」

あつあつのうどんをはふはふ言いながら啜っていると、王子さんがパジャマ姿の私の隣に並んだ。

「美味しいですか?」

声を発しようとするとうどんが飛び出てきそうだったので、代わりにうんうんと何度も頷く。

王子さんは満足げに私の頭を撫でると、コートを着て財布をポケットに入れて出かける支度を始めた。

「コンビニに行ってきますね。あなたの家の冷蔵庫は空っぽなので、簡単に食べられそうなものを調達してきます。土鍋はシンクに置いておいてください。洗わなくて構いません。くれぐれも良く噛んで食べるんですよ?無理して食べないこと」

「はーい……」

王子さんが出掛けていくと私は言いつけ通りうどんを良く噛んで食べた。いや、食べ尽した。無理して食べるなと言う方が無理だし。

「ご馳走様でした」

スープまで一滴残さず飲み干すと、お箸と土鍋をシンクに置いて再びベッドに横になる。

枕元に置かれた看病グッズの数々を見ると王子さんの優しさが身に染みて、胸が一杯になった。

避けられていることに気がつかないほど、王子さんはバカじゃない。

……それでも、来てくれた。世話を焼いてくれた。

嬉しさと愛しさが入り混じる、自分でも持て余すこの気持ちは一体何なのだろう?

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