ランチタイムの王子様!
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久し振りに開催されたお料理レッスンは王子さんしては珍しく失態から始まった。
「しまった……。オリーブオイルを切らしていました」
「え?」
王子さんはラックに置いてあったオリーブオイルの瓶を見るなり、ガクッと肩を落とした。
「オリーブオイルならこっちにもありますよ」
私は手近にあった瓶を手に取ると、ラベルが見えるように王子さんの目の前に掲げた。
「そちらはドレッシングには向かないんですよ。どっしりとした口当たりなので、炒め物には良いのですが」
なるほど。オリーブオイルひとつとってもこだわりのメーカーがあるらしい。
「直ぐに買ってきますから、待っていてください。15分ほどで戻りますので大人しくしていてください」
「はーい」
大人しくしていろとは、要するに自分がいない間はキッチンに触るなということである。
いくら料理下手とはいえ自慢のキッチンを爆発炎上させたりしないのに……。
心配性な王子さんに呆れながらも指示に従い、キッチンからリビングのソファに場所を移し、一旦外したエプロンを畳んでいると、ピンポーンとインターホンが鳴った。
(忘れ物かな……?)
私は先ほど出て行ったばかりの王子さんが戻って来たものと思い、相手を確かめずに玄関の扉を開けてしまった。
そして、すぐに後悔することになる。