ランチタイムの王子様!
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「どうしたの?望月さん、その顔……」
「気にしないでくらさい……」
目の下に出来たクマをしきりに心配そうに見つめる麻帆さんに、平気ですとカラ元気を振りまいて、黙々と次のイベントで使うノベルティのラッピング作業に打ち込む。
透明なフィルムに店名入りのミニチャームを入れて、ピンクのリボンで包む。これを計200個作る。
都内の某ファッションビルのリフォームに伴って、新装開店パーティーのお祝いの席でお客様に配るそうだ。
ゴールドの金具にイミテーションの真珠が2連ついたチャームは、とってもゴージャスで華やかだ。
それに比べると、ラッピング作業の地味なことと言ったらない。
新人の私に割り当てられた仕事は体力勝負や根気が必要な作業が多い。
毎日夜遅くまでハンバーグらしきものの試作を続けているせいで、寝不足の身体には少々辛いものがある。
(おかしいなあ……こんなはずじゃなかったのに)
ハンバーグ作りの練習を初めてから随分と経っているというのに、私はまだまともなハンバーグにありつくことが出来ていない。
どれだけ練習しても、まともなものが一向に完成しないのだ。
黒焦げか、生焼け。あるいはバラバラになってひき肉と玉ねぎの炒め物になってしまうという有様である。
これでは王子さんにまいったと言わせるどころか、ゲラゲラと笑われてしまうではないか。
いや、それはそれで見てみたい気もするけれど……。
(どうしよう……)
試作に明け暮れている内に、2週間という日にちはあっという間に過ぎ去り、困ったことにルージュランチはとうとう明日に迫っていた。