ランチタイムの王子様!
“あちらに負けない美味しいメニューを開発してみせます!!”
……と、菫さんには意気込んではみたものの。
「どんなのが良いんだろう……」
安請け合いはするもんじゃないと、調子に乗っていた自分を蹴り飛ばしてやりたくなったのは、それから3日後のことである。
私は近所の図書館から借りられるだけレシピ本を借り、ひたすら写真と作り方の睨めっこを繰り返していた。
「すみませんね。母が無理を言って」
「私もいけないんです。気軽に引き受けちゃったもんですから……」
ハハハと渇いた笑いが口をつく。
まさか、新メニューの開発がこれほど大変だとは思ってもいなかったのだ。
菫さんは若い女性の感性で食べたい物を作ってくれればよいと言っていたけれど、お店で売るとなると利益率や、廃棄率、原価なんかも調べて計算しなければならない。
今日はいつものお料理レッスンを一旦お休みして、新メニュー開発経験者の王子さんと助言をもらいにやって来たのだった。