ランチタイムの王子様!
(うう、難しいよう……)
難題を前にして力尽きて、ダイニングテーブルに突っ伏する。
美味しそうだなと思うものは小難しい食材を使用していたり、煩雑な手順を踏むものばかり。だからといってシンプルなものはいまいちインパクトに欠ける。
あちらを立てればこちらが立たず。さあ、困ったぞ。
「休憩しましょうか?」
見かねた王子さんが温かい蜂蜜レモネードを作って持ってきてくれた。
甘酸っぱく爽やかな味にしばし和む。この寒い時期に温かい飲み物は、胃にしみるようだった。
「それで、新メニューのアイディアは浮かびましたか?」
「……全然です」
「ほう……どれどれ」
王子さんはテーブルに置いてあったほぼ白紙に近い紙に書かれていた単語を読み上げた。
「“美容に良い”“美味しい”“温かい”って、とてもアイディアとは言えないですね」
王子さんは渋い顔つきで紙を私に突っ返した。
「ですよねー」
好きなように考えてと言われても、元々お料理の素養があるわけでもないし。
冬だし身体が温まるようなものが良いよねとか、美容にも効果があるほうが嬉しいなとか、ありきたりな意見しか出てこない。
それでもって、予算内に綺麗に収まるようにしなくちゃならないとなると、とても手に負えない。
……なんだこれ。とんだ役立たずではないか。