ランチタイムの王子様!

アボカドやマグロ、ほたてにマンゴー、思わず手にとってしまう組み合わせは女性のツボを押さえているように思える。

実際に、先に入店していたお客さんは2人ともロール寿司のパックを購入していった。

なるほど、これはなかなか強敵なようだ。

「手間暇かかっていますね。従業員が3人も厨房にいます」

さすがは王子さん。私とは目の付け所が違うようで、厨房でせわしなく動いている従業員に注目していた。

「売り子と厨房は完全に担当が分かれていますね。あれなら商品が売れてしまっても、すぐ補充できます」

キッチンすみれは菫さんがひとりで切り盛りしていることもあって、朝の仕込み分が売れてしまったら、そこで販売終了ということも多い。

ビストロ華は人員が多い分、売れ筋の人気商品を常に切らさず店頭に置くことが出来る。それは客足に大きく関わってくる。

「なかなか手ごわそうですね」

王子さんはそう言うと、看板メニューのロール寿司のパックとお弁当を手に取りレジに並んだのだった。

< 227 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop