ランチタイムの王子様!

(私の家と切り方同じだ……)

おふくろの味の定番でもある味噌汁。実家の味を思い出して、しばし懐かしい気分に浸る。

「試食しましょうか?」

「はい」

お椀一杯に味噌汁をよそってダイニングテーブルにつくと、王子さんが炊飯器を開け、炊きたてのご飯まで用意してくれた。

ふたり揃ったところでいただきますと手を合わせ、件の味噌汁に口をつける。

お味噌の味と、ホッとする温かさに、ほああっと顔を綻ぶのが分かった。

「美味しいですか?」

「はい……!!」

そう言うと、王子さんは満足げに微笑み、己のお椀に箸をつけ始めた。

あうう……。その笑顔は反則ですって!!

不意打ちのような笑顔は私の動きをぎこちなくさせる。

「これから具材を決めていきましょう。味噌汁に入れたい食材、試したい食材があったらどんどん言ってください」

「分かりました!!」

それから私達は時間の許す限り、味噌汁に入れる具材について語り合ったのだった。

< 235 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop