ランチタイムの王子様!

「それにしても味噌汁が新メニューで本当に大丈夫なのかって菫さんに思われませんかね?」

「それについては私にも何とも言えません……。なにはともあれ、一度母に味見してもらいましょうか?そろそろ店も閉まる時間ですし店まで行ってみませんか?」

「いいですね!!」

王子さんがキッチンすみれに電話をしている間に、ランチジャーに豚汁を入れて蓋をする。このランチジャーは温かい物を保温するのに最適な優れ物なのである。

「おかしいですね……」

王子さんは携帯を耳に当てたままボソリと呟いた。

「どうかしました?」

「母が電話に出ません」

「キッチンすみれの閉店時間って夜の8時ですよね?」

現在の時刻は7時50分である。閉店するには少し早い時間ではある。電話に出ないということは接客中だろうか。

「まあ、とにかく行ってみましょうか」

王子さんはそう言うと通話を終了し、コートを羽織って出掛ける準備を始めた。

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