ランチタイムの王子様!
朝4時に起床して一通り身支度を済ませると、キッチンすみれまで歩いていく。
夜明け前の町は薄暗く、取り残された星たちが地上からいくつも見えた。
裏口にまわって預かっていた鍵を鍵穴に差しこんでドアノブを捻ると、厨房の扉は簡単に開いた。
私はエプロンと三角巾を着用すると、早速準備にとりかかった。
なにせ、50人前だ。やることは山ほどある。
まずは5升もあるお米を研ぐことから始める。計量カップで米袋からお釜の中にお米を入れると、水を注いで手で掻きまわす。
(冷たっ……!!)
途中水の冷たさに辟易しながらも、何とかお米を研ぎ終えると2台ある業務用の炊飯器にそれぞれお釜をセットして、スイッチを入れる。
よしよし、今のところは順調順調。
「ひばりちゃーん。野菜持ってきたぞー」
「はーい!!」
戸口から八百屋の源さんの威勢の良い声が聞こえたので、走って裏口へと向かう。