ランチタイムの王子様!
ランチタイムの嘘
ルージュランチの当日。
フィル・ルージュのオフィスはいつもと違い、皆がそわそわと地に足がつかず、朝から互いのメニューを聞き合ったり、こっそりタッパーを見せ合ったりしていた。
それでも何とか午前の業務を進めていき、時計が11時30分を指すと最初の準備が始まる。
「会場係はいくぞー」
その掛け声で会場係の2、3人がぞろぞろとオフィスから出て行く。
社員全員、約30人分ともなると食器やお箸、飲み物などを用意するのもこれまたひと手間かかるのである。
初参加の私も会場である会議室のセッティングを手伝うことにした。
普段は皆さん外出していることも多いがこの日ばかりは全員が揃うので手狭なオフィスではなく、会議室を使用するのだそうだ。
「望月さん、その長机を中央に寄せてもらえる?」
「はーい」
麻帆さん主導のもと、着々と準備が進められていく。
指示通り長机を中央に寄せて、倉庫に置いてあった可愛い小花柄のテーブルクロスを敷くと、味気ない長机が素敵な食卓に早変わりする。
今朝方調達した花束を花瓶に生けて飾れば、通常業務のことはすっかり頭から離れ、お祭り気分がグッと盛り上がる。
(何かワクワクしてきたぞ!!)
始まりの時を今か今かと待っていると、会議室の扉がコンコンとノックされた。