ランチタイムの王子様!
オフィスビルの8階、1フロアを丸々ぶち抜いた広々とした空間には、そこかしこに段ボールが天井まで届かんばかりに積まれている。
それらはすべてイベントで使うビラやノベルティだ。刷り上がったポスターやノベルティの仕上がりを確認するのも私達の仕事の一つである。
しかし、今日は午後から仕事を再開する前に尋ねておかないといけないことがある。
面倒だなっと思いながらも重い腰を上げ、段ボールの山を越え埋もれかけている王子さんのデスクの前までやって来る。
「王子さん」
「何の用ですか、望月さん?」
若王子瑛介(わかおうじえいすけ)は眼光鋭く、己の食事を邪魔する異物を睨みつけた。
ジロリと頭の上からつま先まで視線を上下させると、無言でペットボトルのお茶を口に含む。
(ひいい!!怖いよう!!)
私は何とも言えない迫力にガクガクブルブルと震えながら、その場から逃げ出したくなる気持ちを必死になって抑えた。