ランチタイムの王子様!
……昨夜はよく眠れなかった。
男の人と待ち合わせなんて普通はデートだっていう発想になって浮かれそうなものだけれど、あのシチュエーションといい、相手が王子さんであることといい、デートだなんてもってのほかである。
……弱みを握られた。それも絶対に隠さないといけない類のやつだ。
(いや、私がいけないんだけどさあ……)
昨日の出来事を思い出して、しょぼくれてしまう。
からあげのことを黙ってもらう代わりに、私はどんな代償を支払わなければならないのだろう?
待ち受けている運命が何であれ、逃げ出すことは許されない。
例えてみるならば、市場に売りに出される子牛のような気分だ。
元の生活には二度と戻れないのね……。ドナドナ~。
荷馬車に載せられた子牛に思いを馳せ暗い気持ちになっていると、5分後に王子さんがやって来た。