ランチタイムの王子様!
「やはり、知り合いでしたか」
王子さんは予想通りといった感じで、腰に手を当てて大きなため息をついた。
私は頭の中でからあげのことを問い詰められた時のやりとりを振り返っていた。
……おかしいとは思っていたんだ。
隠し味を聞いたところでそれが正しいかどうかなんて王子さんに判断できるのか甚だ疑問だったのだが、彼が本当に菫さんの息子さんだというなら説明がつく。
キッチンすみれの店頭に並んでいるメニューならもちろんレシピだってあるだろうし、隠し味を知っていたとしてもおかしくない。
(そういうことだったのか……!!)
真実を知り、タネを理解し、身体からガクッと力が抜ける。
道理で王子さんがあのからあげを作ったのが私じゃないって分かるはずだ。
そりゃあ、王子さんは生まれた時から毎日菫さんの手料理を食べていたんだもの。
よろよろと壁にもたれかかって己のアホさ加減にのの字を描いていると、王子さんがぐいっと腕を掴んで厨房へと引きずっていく。