ランチタイムの王子様!
「むらがでないように混ぜてね」
ご家庭ではお目にかかれない顔の大きさほどもあるしゃもじを渡され、指示に従ってお米をひっくり返す。
(うわっぷ……!!)
湯気の熱さに顔をしかめながら作業を続けていると、菫さんが厨房の裏手からお弁当用のプラスチックパックを持って帰ってきた。
突然連れてこられたバイトだからといって菫さんは使える人手を無駄にするようなことはしない。若王子親子の順応性の高さには脱帽である。
「ひばりちゃんって瑛介の知り合いだったのね」
「職場の後輩です……」
作業台の上にお弁当のパックを一緒になってひとつひとつ並べながら苦笑いで答えると、菫さんは本当にすまなそうな顔をしていた。
「ごめんなさいね。折角の休日なのに瑛介が無理を言ったんでしょう?」
「いえ、そんなことないです……」