ランチタイムの王子様!
「まずは基礎を覚えましょうか」
意外な発見もあった食事の席は和やかに進み、あらかた胃に収まったところで王子さんが口を開く。
「基礎ですか……?」
食後に淹れてもらったコーヒーにミルクを足しながら尋ねる。
インスタントではなく、ちゃんと豆から挽く本格派的なコーヒーは香り高く、安物とは味も風味も異なる。
豆を挽くところを見せてもらったのは初めてだけれど、コーヒー一杯飲むためだけにあれほど手間暇かけるなんて強いこだわりを感じた。
「ええ。あなたの場合、まずは基礎から始めた方が良いでしょう」
……それは、お料理レッスンが一回こっきりではないということを示していた。
(また、王子さんのスパルタ教育か……)
遠慮したいと顔にデカデカと書いてあったことに気がつかないまま、王子さんが続ける。