ランチタイムの王子様!

「次のルージュランチまで一カ月半あります。それだけあれば拙いなりに一通りできるようになるでしょう」

「本当ですか!?」

私も王子さんのような素敵シェフになれるのかと、期待に胸躍らせてテーブルから身を乗り出し確認する。

ちゃんと料理が出来るようになれば、もうルージュランチの度に惨めな思いをしなくても良くなる。

今度こそ胸を張って手料理を振る舞うことができるの……?

「出来るようになってくれないと困ります。この私が指導するんですからね」

ここぞとばかりに自信満々の眼鏡クイが決まる。

「毎週土曜日、10時にこの部屋集合です」

「はい!!」

私は王子さんについていこうと決意すると、元気よく返事をした。

実を言うとね。

本当に、本当にちょっぴりだけれど。

あわよくば、あの蕩けるような笑顔をもう一度見たいという願望があった。

こればかりは王子さんには絶対に内緒だ。

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