ランチタイムの王子様!

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会社からの帰り道、いつものように商店街を歩いていると、声を掛けられた。

「ひばりちゃーん!!」

おいでおいでと手招きされてテテテと駆けていくと菫さんは、カウンター越しにレジ袋を渡してくれた。

「菫さん、こんばんは!!」

「これ、お裾分け。この間は、無理言って手伝ってもらったからね」

「うわあ!!ありがとうございます!!」

レジ袋の中を覗くと、そこには私がいつも買っている大好きなおかず達が。出来たてのおかずの匂いに誘われて、頬ずりしたくなっちゃう。

ホクホク顔でレジ袋を眺めていると、菫さんがそっと耳打ちをしてくる。

「ねえ、瑛介に料理習ってるんだって?大丈夫?あの子、容赦ないでしょ?」

私はう~んと、しばし考え込んでしまった。

「確かに容赦ないですよね、王子さん」

毎週王子さん宅にお邪魔して、料理を教えてもらう生活を続けてみて分かったことといえば。

私の料理の腕が呆れるほど壊滅的だっていうことと。

王子さんの作るご飯がべらぼうに美味しいっていうことだ。

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