ランチタイムの王子様!
「すり切りを使ってください。それだと小さじ1より多いですよ」
砂糖を入れるだけでこの手間ですか。料理って奥が深いうえに結構大変だ。
ようやく砂糖を入れ終えて、鍋の蓋を締める。
いかん、いかん。
まだスタートラインに立ったばかりではないか。
苦手意識が元々あるせいか、料理に対してはネガティブな発想になりがちだ。包丁の使い方以外にも、まだまだ学ぶべきことは沢山ある。
王子さんに教えてもらうだけではなく、自分でも色々と勉強しなくては……。
来週はいよいよ二度目のルージュランチである。
一度目のような悲劇は二度と繰り返さないと、意気込みだけは十分だ。
技術が追い付いていないのが難点だか、そんな現状を打破すべく、あとはじっくり煮込むだけになったチリビーンズの出来上がりを待つ間、王子さんに相談を持ち掛ける。
「あの……ちょっと伺いたいことがありまして……」
「何ですか?」
「料理をする上で最低限揃えないといけない調理器具を教えて頂けませんか?家でも自主練をしようかと思いまして……」
私は威勢よくバッグからメモ帳とボールペンを取り出した。