ランチタイムの王子様!
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王子さんとお出かけすることになった日曜日。待ち合わせはお昼を過ぎた13時、駅前のロータリーだった。
王子さんが来る前に、もう一度手鏡で化粧のノリと髪型をチェックする。
今日の私の服装は夏らしい軽やかな綿のロングスカートにギンガムチェックのシャツをINしたカジュアルなスタイルだ。すべてこの間のバーゲンで買ったばかりの新品である。
コーヒーショップのガラス窓に映った自分の姿を何度も見ては、おかしなところがないかスカートの裾を翻してしまう。
王子さんと休日を一緒に過ごせることに妙にはしゃいでいる。
(……まるでデートに行くみたいだな)
ハッと我に返り、いやいや違う違うと思い切りかぶりを振る。
調理器具を買いに行くという明確な目的があるというのに、デートという発想になるのはいかがなものか。
(王子さんは仕方なく付き合ってくれるだけなんだから……)
妙な期待をするだけ無駄というものだ。王子さんだって言っていたじゃないか。
“あなたには興味ありません”って……。
ああ、もう!!何だかこの間から変だぞ、私!!
ひとり悶々としていると、ロータリーに一台の乗用車がやって来て私の目の前でピタリと停車した。
「望月さん、乗ってください」
「王子さん!!」
助手席の窓を開け、運転席から身を乗り出して手招きをしているのは間違いなく王子さんだった。
彼の言うままに助手席に身体を滑り込ませてシートベルトを締めると、まもなく車が発進する。