ランチタイムの王子様!

何とも言えない気まずい雰囲気になりそうになった時、ポンッと頭に手を置かれた。

「遠慮するくらいならこれからも母と仲良くしてやってください。常日ごろから愛嬌のない息子より可愛い娘が欲しかったとぼやいていますから」

「でも……」

「その代りに今度、弁当の大型発注があった時は手伝ってもらいます」

そう言うと、王子さんは私の許可も得ないで勝手に選んだ包丁の購入を決めてしまった。

レジのお姉さんの“お買い上げありがとうございます”の明るい声が、呆然としていた私の意識を目覚めさせる。

「王子さんやっぱり……!!」

「折角だから名前も入れてもらいましょう。愛着も湧くと思いますしね」

買うのをやめませんか?と続けようとした台詞が行き場もなく地に沈む。

テレビを見ながらせんべいを齧っているだろうお母様、聞いてください。

……ひばりはちょこっと大人になりました。

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