ランチタイムの王子様!
「いただきまーす」
麻帆さんがハンバーグを箸でつまんで、もぐもぐと頬張っているのを緊張の面持ちで見守る。
私の作ったハンバーグを食べて麻帆さんは何て言うだろうか……。
ドクンドクンとやたらと心臓の音が煩い。
麻帆さんはハンバーグを食べ終わると取り皿の上に箸を置いてこう言った。
「焦げてるところなんて全然気にならないよ!!とっても美味しいよ。あ、もうひとつもらってもいい?私、ハンバーグが大好物なんだー」
エヘヘと照れたような笑顔を見た途端、真っ暗だった視界がぱあっと開けたような心地がした。
「……はいっ!!どうぞ!!沢山ありますから!!」
麻帆さんから隠れるようにしてポロリと零れた涙をこっそりハンカチで拭きとる。
(嬉しいっ……!!)
初めてもらった“美味しい”の一言がジワリジワリと心の奥に染み渡っていく。