ランチタイムの王子様!
「それでは、私もいただきましょうか」
王子さんはハンバーグを取り分けると、お上品に箸で一口大に割って口に入れた。
私はそのひと噛みひと噛みを黙って見守った。
ゴクンと喉が上下すると、いよいよ緊張が最高潮に達する。
麻帆さんは美味しいと言ってくれたけれど……。
さあ、辛口王子の評価はいかに?
(切り方が下手とか、味が濃すぎるってまた注意されちゃうかな?)
ぎゅうっと目を瞑って王子さんからのダメ出しをビクビクしながら待っていると、ぺシンとおでこを弾かれた。
「ごちそうさまでした。とても美味しかったですよ」
「え……あ?へ……?」
美味しかった……?
料理レッスン中にただの一度も聞けなかった一言をもらって、みるみる内に体温が急上昇していく。
「この調子で頑張ってくださいね」
そう言って会議室から出て喫煙所に向かう王子さんを、慌てて追いかける。