ランチタイムの王子様!

(何で?)

料理レッスンは基本スパルタ。普段は何を考えているのか全然分からないくらい無表情。時には意地の悪い冗談だって平気で言う。

……そんなあなたが。

どうして、お世辞にも上手とは言えない私の料理を褒めてくれるの?

「王子さん!!」

誰もいない廊下で声を張り上げ、王子さんを引き留める。

「どうしました?」

立ち止まった彼に一歩ずつ、一歩ずつ近づいていく。

(言わなきゃ……)

だって、私……。王子さんのことがもっと知りたい。

「よかったら……これからも私に料理を教えてくれませんか?」

震える声で尋ねると、眼鏡のフレームを指でクイッと押し上げながら彼は言う。

「当たり前でしょう?あなたなんてまだまだ私の遠く足元にも及びませんよ」

…… “美味しいですか?”と問いかけたあの時と同じ蕩けそうな笑顔で。

元カレの呪縛は完全に解けた。

ここからまた新しい恋が始まっていく。

王子さん、教えてください。恋も料理も。全部あなたから教わりたい。

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