婚約者はホスト!?①~永遠の愛を君に~
ホスト

深夜1時。
ネオンの街は黒服の男たちで溢れていた。

 『ホストクラブ アクア』

なつは店の前に立ち、大きく飾られた恋人の写真を見つめた。

「圭司………」

なつが口ずさむと、ちょうど店の前で客引きをしていた茶髪のホストが振り返った。

「ああ。響さんね。うちのNo.1ホストだよ。格好いいでしょう?」

事情を知らないホストはなつに笑顔で笑いかける。
なつはそんな彼の腕を掴み、こう問いかけた。

「彼に会うにはどうすればいいの? 【指名】というものをすればいいの?」

お嬢様育ちで世間知らずのなつには、ホストクラブなんて未知の世界なのだ。

「まあね。そりゃ、ホストクラブだから指名すれば会えるけど、ただ響さんは人気だからね。指名しても席につけるかどうか」

「それでもいいから彼に会わせて! お願いします」

必死に訴えるなつにホストは苦笑する。

「わ、分かったから。でも、その前にさ、君、年はいくつなの? うちの店、未成年はダメなんだけど」

「大丈夫。はたち…だから」

童顔で清楚な雰囲気をもつなつ。
メイクをしていても高校生くらいに見えてしまう。

「身分証ある?」
「あ……うん」

なつはバッグから大学の学生証を出した。

「ふーん。M大の2年生か。森口なつ。なっちゃんね。因みに俺は拓哉っていうんだ。宜しくね」

ホストは人懐こい顔で笑った。

「それじゃ、ついておいでよ」

なつは拓哉に連れられて、店の階段を上って行った。

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