婚約者はホスト!?①~永遠の愛を君に~
なつがここに来た目的は、一年前に忽然と姿を消した恋人、瀬崎圭司(せざきけいじ)に会う為だった。
圭司はなつと同じ大学に通う二歳年上の先輩だった。
甘いルックスをしたイケメンの圭司は常に取り巻きの女子に囲まれていた。
なつも入学当初から彼に思いを寄せていたが、男に免疫もなくおっとりとした性格のなつには、ただ遠くから見つめることくらいしかできなかった。
けれど、夏休みが開けてすぐのこと。
なつは圭司に呼び出された。
『ずっと君のことが気になってたんだ。よかったら俺と付き合ってもらえないかな』
圭司からの突然の告白に、なつは何度も頷きながら喜びの涙を流したのだった。
こうして、二人の交際はスタートしたけれど、学内に噂が広まると、圭司のファンからの心ない嫌がらせが始まった。
圭司はなつを守る為に交際を否定し、大学ではいっさいなつに近寄らなかった。
二人が会えるのは大学の外だけだったけれど、9時の門限があるなつと、就活とバイトで忙しい圭司が会えるのはほんの僅かな時間だった。
そんなある日のこと、
『第一志望の会社から内定が貰えたんだ。来年、俺が就職したら結婚しよう』
圭司はなつの薬指にダイヤの指輪をはめながら、プロポーズしたのだ。
『なつのお父さんにも必ず認めてもらうから』
なつは感激の涙を出した。
けれど、その1週間後。
圭司は何も告げず、一緒に暮らしていた母親と共に姿を消してのだった。