婚約者はホスト!?①~永遠の愛を君に~
「そんな…。どうして?」
なつは、震える声で聞き返す。
「俺じゃ、なつを幸せにはできないから」
「そんな事ない! 私は圭司とだったらどんなことがあったって幸せだよ! どうしてそんなこと言うの!」
取り乱すなつを、圭司はソファーへと座らせた。
「なつ。俺の話聞いてくれる?」
「実はなつにプロポーズしてすぐ、青龍会を名乗るヤクザが蒸発してた親父を連れてやって来たんだよ。どうやら親父にはギャンブルで作った1000万の借金があるらしくてさ、保証人の俺に返済しろと言ってきたんだ。普通に働いて返したって、利子が増えていくだけだしな。ホストで稼ぐしかなかったんだ」
「そんな………どうして私に相談してくれなかったの! お金だったら、事情話して私が父に借りることだってできたのに」
「そんなことできる訳ないだろ? ヤクザにお金なんて返したら、それだけで犯罪になる。なつのお父さんは代議士だろ? そんなことに巻き込んだら、政治生命を絶たれるどころじゃ済まなくなるよ」
「だったら、圭司だって、返す必要なかったんじゃないの?」
「なつの写真が送られてきたんだよ。ヘタな真似したらなつに何されるか分からない。だから、俺はなつから離れたんだ。もちろん借金を返し終わったら、すぐになつのところに戻るつもりだった。実際、三カ月で親父の借金は全部返し終えたし」
「え? だったら、もう…」
「いや。それがな、今度はオヤジが覚せい剤に手を出して……」
「え……」
「自分も売人になって、青龍会の下で働いてる。だから、もう、俺はなつの元へは帰れないんだよ。だからなつも、俺にはもう関わるな」
「嫌よ! 私はどんな状況だって平気だから! 私は圭司から離れないから!」
なつは必死で圭司の胸にすがりつく。