婚約者はホスト!?①~永遠の愛を君に~
「なつ…聞いて。なつのお父さんは代議士なんだから、俺の親父のことが明るみに出れば大変なことになる。分かるよな? 俺たちは別れるしか道がないんだよ」
「いや…。そんなの納得できない」
「ごめんな。でも、なつがどう言おうと俺はなつとやり直すつもりはない。なつのことは綺麗な思い出のまま終わりにしたい。その方がお互い幸せになれると思うから」
圭司の決心は堅かった。
そして、ポケットから指輪を取り出し、なつの手に握らせた。
「これはなつが持ってて欲しい。俺がなつを愛した証しだから」
なつは返す言葉がなかった。
それからどれくらい時間がたっただろうか。
「分かった……もう、いいよ。圭司の気持ちは分かったから」
なつは力なく答えた。
こうして、なつは圭司から二度目の別れを告げられたのだった。