婚約者はホスト!?①~永遠の愛を君に~

「私が代わりに処分してあげますよ」

田島は冷たく笑いながら、なつの薬指から強引に指輪を奪い取った。そして、窓の外に向かって大きくかぶりを振った。

「や、やめて! お願いだから!」

なつの必死の訴えも虚しく、指輪は駐車場の植え込みの中へと消えていった。

「いいですか。あなたはもうすぐ私と結婚するんです。いい加減自覚して下さいね」

田島は強い口調でそう言いうと、なつを残して去って行った。

なつは指輪を追いかけて、急いで病院の裏口に出た。

「確かこの辺に落ちたはず」

駐車場の植え込みの中を探すが、暗闇の中で小さな指輪を探すのは至難の業だった。それでもなつは携帯の光を頼りに必死に探し続けた。

しばらくして、駐車場に一台の車が入ってきた。車のライトが消え、足音がなつの方に近づいてくる。

「なつ?」

名前を呼ばれて振り返ると、そこには圭司が立っていた。

「圭司……」

「こんな所で何してるの?」

四つん這いになり草をかき分けているなつを、圭司は驚いた顔をして覗き込んだ。

「こ、これは指輪を探してて…」
「指輪?」
「そう。さっき病院の窓から、圭司にもらった指輪を婚約者に捨てられちゃったから」

なつの言葉ですぐに状況を理解した圭司は、辺りをキョロキョロ見回してながらなつの前にしゃがんだ。

「そっか。それで、どうしてこんな所に来たんだ? 誰かのお見舞いか?」


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