婚約者はホスト!?①~永遠の愛を君に~
なつは受話器を持ったまま、しばらく考え込んでいた。嫌がらせや悪戯にしてはちょっと悪質だ。
田島が青龍会と繫がっているなんて、俄には信じられないけれど、もし本当のことだったら。
その日、なつは大学を早退し、いつもより早く病院へと向かった。
時刻は午後6時。
なつは賢三に何気なく田島の所在を聞いた。
「ああ。田島なら、珍しく私用があるとかで今日は早々に帰って行ったよ。まあ、彼にも彼の付き合いがあるからな」
賢三の言葉になつは青ざめる。
「どうしたの? そんなに田島さんに会いたかったの?」
事情を知らない母節子はクスクスと笑っているが、なつは気が気ではなかった。
「ごめん。私も用事を思い出したから帰るね」
なつは慌てて立ち上がり、病室を飛び出したのだった。