婚約者はホスト!?①~永遠の愛を君に~

エスカレーターでロービまで駆け下りると、なつは拓哉に電話を掛けた。

「もしもし、拓哉さん?」

『ん? なっちゃん? 何かあった?』

なつは早口で話し出した。

「あのね、拓哉さん。今朝、変な電話があってね、私の婚約者が青龍会と繋がってて、父のお金をこっそり青龍会に流してるって言いうの」

「えっ……? ちょっと待って……青龍会ってあの暴力団組織の!?」

「うん、その青龍会なんだけど。今夜の幹部会に私の婚約者が出るって言ってて。だからね。確かめに行こうと思ってるんだけど、組長の家の場所知らなくて。圭司なら知ってると思うんだけど、拓哉さんから聞いてもらえないかなって思って」

「なっちゃん、ちょっと落ち着いて。不安な気持ちは分かるけど直接確かめに行くなんて危険すぎるよ。何か別の方法を考えよう。興信所とか色々あると思うからさ。俺も今は仕事で動けないんだけど、また連絡するからさ、なっちゃんは何もしちゃダメだよ。分かった?」

拓哉は必死になつを止めた。
 
「そうだよね。分かった…ありがとう。拓哉さん」

少し落ち着きを取り戻したなつ。
拓哉との通話を終えて、病院のエントランスを再び歩き出した。


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