婚約者はホスト!?①~永遠の愛を君に~
すると、先ほど門の前にいた組員らしき三人の男が、なつと由香里を取り囲むようにして立っていた。
「こんな所で何してるって訊いてんだよ!!」
「い、いえ。何も」
なつは震える声で答えた。
「ん? おまえ……見覚えのある顔だな?」
男の一人が由香里の顔を覗き込んだ。
「ああ、この女、あれですよ。組長が前に愛人にしようとしてた女ですよ。連れて行ったら組長に喜ばれるかもしれませんよ?」
若手のチンピラがニヤリと笑ってそう言った。
なつは由香里を守るように前に出た。
「由香里さんは関係ないの。連れていくなら私だけにして」
「はあ? 何寝ぼけたこと言ってんだ? 二人とも逃がしゃしねえよ。ほら、威勢のいいお嬢ちゃんは、俺が相手してやるから、こっちこいよ」
チンピラの一人がなつの肩を抱き寄せたその瞬間、男のこめかみめがけて拳大の石が飛んできた。
「イッテ~~!!」
男は頭をおさえながらその場にしゃがみ込んだ。
そこにいた全員が一斉に背後を振り返ると、恐ろしい顔つきをした圭司が男達を睨みながら立っていた。
「け、圭司!!」
なつは目を丸くした。
「貴様。いい度胸してんじゃねえか。ここをどこだか分かってるのか?」
チンピラの一人が凄みながら圭司の胸もとを掴み上げた。けれど、圭司はふっと鼻で笑いながらその手を捻り上げた。
「汚え手で触んじゃねえよ。この雑魚が」
男はうめき声を上げながら顔をしかめる。
「テッメェ~~」
残りの一人が圭司に殴りかかると、圭司は素早くそれをかわして、男の腹部を蹴り上げた。
結局、圭司一人であっという間に三人のチンピラ達を倒してしみった。
「よし、今のうちだ。二人とも早くこい!」
圭司は他の組員に見つからないうちに、なつとゆかりを連れて、車へと逃げ込んだ。
そして、そのまま猛スピードで車を走らせたのだった。