婚約者はホスト!?①~永遠の愛を君に~
「なつさん。なつさん…」
なつは由香里の声でゆっくりと目を開けた。
なつと由香里は両腕をロープで縛られた状態で、薄暗い部屋に閉じ込められていた。
「由香里さん、ごめんなさい。またあなたを巻き込んでしまったみたい」
「いえ。あそこで声をかけた私が悪いんですから。恐らくここは、青龍会のアジトだと思います。私達、ただでは出られないでしょうね」
絶滅したように由香里が言った。
「本当にごめんなさい……由香里さんだけは何とか助けるから」
由香里の身に何かあれば圭司に一生恨まれてしまうだろう。なつには何よりも耐え難いことだった。
と、その時、バタンと乱暴に扉が開いて、二人のチンピラが入ってきた。
「へえ…。二人ともなかなかの上玉じゃん」
「なあ、竜介。どうせ兄貴達は黒沢組との取引でしばらく抜けられないはずだから、ヤッたってバレねえんじゃねえか?」
「ああ、そうだな。せっかくだから楽しませてもらうとするか」
二人はニヤリとしながら、なつと由香里に近づいてきた。
「や、やめて! お願い」
なつは首をブルブル振りながらお尻と足で後ずさる。
「あ? やめる訳ねえだろ? 大人しくしろよ」
男はなつの顔を片手でグイッと持ち上げた。
「それなら、せてめ彼女にだけは手を出さないで……私は何されてもいいから………お願い」
なつは必死に懇願した。