婚約者はホスト!?①~永遠の愛を君に~
「まあ………どうせ、あなたは青龍会に消される運命だ。それならば、私がこの手であなたをあの世へと送ってさしあげますよ」
田島はなつを壁へと追い込みながら、冷酷な笑みを浮かべた。
「わ、私を殺したら父の後継者にはなれないわよ」
「ご心配なく。きっと先生は私を養子にしてくれるでしょう。恋人を失った悲劇の婚約者になれば同情票も集まりますしね。とにかく私は、先生の築いた地盤を引継いで政治家になりますよ。青龍会の為にもね。だからなつさん、あなたは死んで下さい」
田島がなつの首に手をかけたその時だった。
「なつ!!」
勢いよく扉が開いて、圭司が息を切らせながら駈け込んできた。
そして、田島をなつから引き剥がし、顔面や腹部を思いきり殴りつけた。
田島は「うっ」と倒れ込む。
圭司は田島の胸ぐらを掴んだ。
「よく聞け、田島。俺は青龍会と黒澤組の取引を動画に全て収めた。おまえが覚醒剤と拳銃を黒澤組の幹部に渡している証拠画像もある。おまえはもう終わりだ。青龍会ごとぶっ潰してやるから覚悟しろ!」
圭司の言葉に田島はふんと鼻で笑った。
「好きにしろよ。ただし、おまえの大事な恋人がどうなっても知らないけどな」
「大事な恋人?」
圭司は問い返した。